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共起ネットワークとは

共起ネットワークとは、一緒に現れるもの同士の関係を点と線で可視化する分析手法です。読み方・作り方・活用分野を身近な例で解説し、特許情報から企業の開発チームを見つける活用例も紹介します。

更新日:監修:留場 恒光(弁理士・理学博士)

共起ネットワークとは、「一緒に現れる(共起する)」もの同士の関係を、 点と線で結んだ図として表す分析手法です。たくさんのデータの中から、何と何が結びついているのか、どんなまとまりがあるのかをひと目でつかめるため、 アンケートや口コミの分析、マーケティング、研究動向の調査など、幅広い分野で使われています。

この記事で分かること

  • 共起ネットワークの基本的な読み方(ノード・エッジ・クラスター)
  • 身近な例で見る、共起ネットワークの作り方
  • ビジネスでの活用分野と、読み解くときの注意点
  • 特許情報に応用して、企業の「開発チーム」を見つける方法

「共起」とは

共起(きょうき)とは、ある2つのものが、同じ文や同じ場面に一緒に現れることをいいます。 たとえば、次のような関係はすべて「共起」です。

  • 同じ文章の中に、「コーヒー」と「香り」という単語が一緒に出てくる
  • 同じ買い物かごに、「パン」と「牛乳」が一緒に入っている
  • 同じ論文に、研究者Aと研究者Bが共著者として名を連ねている
  • 同じSNS投稿に、2つのハッシュタグが一緒に付いている

一度だけなら偶然かもしれませんが、何度も一緒に現れるものの間には、何らかの関係がありそうです。 この「一緒に現れる回数」を数えて、関係の強さを図にしたものが共起ネットワークです。

共起ネットワークの読み方

共起ネットワークは、主に次の要素で構成されています。

要素意味と見方
ノード(円)分析の対象となるもの(単語、商品、人物など)。登場回数が多いほど大きく描くのが一般的です。
エッジ(線)ノード同士が一緒に現れた関係。一緒に現れた回数(共起回数)が多いほど太く描きます。
クラスター互いに密につながったノードの集まり。共通の話題やグループを表し、色分けして示すことが多いです。
ハブ多くのノードとつながる中心的なノード。全体をつなぐ重要な要素であることが多いです。

図を読むときは、まず大きなノードと太いエッジに注目し、 次に色分けされたまとまり(クラスター)がそれぞれ何を表しているかを考えるのがコツです。

簡単な例:カフェの口コミを分析する

あるカフェに、次の5件の口コミが寄せられたとします。

口コミ取り出した単語
「コーヒーの香りが良い」コーヒー、香り
「コーヒーとケーキがおいしい」コーヒー、ケーキ、おいしい
「ケーキがおいしい」ケーキ、おいしい
「店員の接客が丁寧」店員、接客、丁寧
「接客が丁寧で居心地が良い」接客、丁寧、居心地

同じ口コミに出てきた単語同士を線で結び、一緒に出てきた回数が多いほど太くすると、次のような共起ネットワークができます。

「味」の話題「接客・雰囲気」の話題コーヒー香りケーキおいしい店員接客丁寧居心地
「ケーキ」と「おいしい」、「接客」と「丁寧」は2回一緒に出てきたため、線が太くなっています。

図を見ると、単語が「味」の話題と「接客・雰囲気」の話題の2つのまとまりに分かれていることが分かります。 口コミを1件ずつ読まなくても、「このカフェは味と接客の両面で評価されている」という全体像がつかめるわけです。 実際の分析では数百〜数千件のデータを扱うため、この「全体像がひと目で分かる」効果はさらに大きくなります。

共起ネットワークの作り方

共起ネットワークは、おおむね次の流れで作成します。

  1. 「一緒」の単位を決める 1つの文、1件の口コミ、1回の買い物、1本の論文など、何をもって「一緒に現れた」とみなすかを決めます。
  2. 要素を取り出す 単語や商品名、人物名などを抜き出します。文章の場合は、「良い」「する」のようにどこにでも出てくる語を除くと、特徴がはっきりします。
  3. 共起回数を数える 要素のペアごとに、一緒に現れた回数を数えます。回数の代わりに、Jaccard係数などの指標で関係の強さを表すこともあります。
  4. しきい値で絞り込む 登場回数や共起回数が少ないものを除き、図を読みやすくします。
  5. 描画とクラスタリング ネットワークを描き、密につながったグループを自動で見つけて色分けします。代表的な手法にLouvain法などがあります。

共起ネットワークの主な活用分野

分野何が分かるか
アンケート・口コミ分析自由記述の回答から、顧客がどんな話題で何を評価・不満に感じているかを把握できます。
マーケティング一緒に購入されやすい商品の組み合わせから、売り場づくりやおすすめ施策のヒントが得られます。
研究動向の調査論文のキーワードや共著関係から、研究テーマの広がりや研究者のグループが見えてきます。
SNS分析投稿の単語やハッシュタグから、話題の広がり方や関心の集まり方を捉えられます。
特許分析特許の発明者やキーワードから、企業の開発体制や技術の関係を読み解けます。(詳しくは後述)

読み解くときの注意点

  • 共起は因果関係ではない 一緒に現れることは「関係がありそう」というヒントであり、原因と結果を示すものではありません。
  • 条件によって見え方が変わる しきい値や「一緒」の単位を変えると、図の形やクラスターの分かれ方が大きく変わります。目的に合わせて調整することが大切です。
  • データの偏りに気をつける 特定の要素が極端に多いと、その要素を中心に図がまとまってしまい、本来のグループが見えにくくなることがあります。

活用例:特許の発明者から「開発チーム」を見つける

共起ネットワークは、企業分析にも応用できます。ここでは、特許情報に記載された発明者を使う例を紹介します。

特許出願には、発明に関わった人の名前が「発明者」として記載されています。1件の出願に複数の発明者が記載されていれば、 その人たちは一緒に研究開発を行った仲間だと考えられます。そこで、発明者をノード、同じ出願に名を連ねた関係(共同発明)をエッジとして共起ネットワークを作ってみます。

6件の出願から作る、発明者の共起ネットワーク

出願発明者
出願1A、B、C
出願2A、B
出願3A、C
出願4C、D
出願5E
出願6E
開発チームABCDE単独出願
A・B・C・Dは共同発明でつながる「開発チーム」。Eは単独で出願しています。

口コミの例で単語が「話題」ごとにまとまったように、発明者は一緒に開発している人たちのまとまりとして現れます。 このまとまりを発明者クラスターと呼び、企業の中の開発チームに相当すると考えることができます。

実際の企業で分析すると

実際の企業の特許では、数百〜数千人の発明者が登場します。クラスタリングを行うと、組織図には現れない開発チームが色分けされて浮かび上がります。

Rival Seekerで作成した発明者共起ネットワーク。色分けされたクラスターごとに、AIが付けたタイトルが表示されている
色分けされた各クラスターが、それぞれ異なる開発チームに相当します(画面は分析結果の一例です)。

「出願人(企業名)× 特許分類」で特許を検索するだけでは、特許が一覧で並ぶだけです。 そこに発明者クラスターという新しい軸を加えることで、 「この企業では、どんなチームが、どんな技術を開発しているのか」という一段深い分析が可能になります。

なお、発明者の共起ネットワークでは、多くの出願に名を連ねる管理職や、部署を異動した発明者を介して別々のチームがつながって見えることがあります。 前述の「注意点」のとおり、登場件数・共起件数のしきい値を調整したり、特定の発明者を除外したりして、実態に近い形に整えることが大切です。

まとめ

  • 共起ネットワークは、「一緒に現れる」もの同士の関係をノードとエッジで可視化する分析手法です。
  • 大きなノード・太いエッジ・クラスターに注目すると、大量のデータの全体像をひと目でつかめます。
  • 口コミ分析やマーケティング、研究動向の調査など、幅広い分野で活用されています。
  • 特許の発明者に応用すると、組織図には現れない企業の「開発チーム」が見えてきます。

発明者の共起ネットワークで実際にどのようなことが分かるのかは、Googleの特許を分析した事例もぜひご覧ください。

この記事の監修者

留場 恒光とめば ひさみつ

弁理士・理学博士/IPdash東京特許事務所 代表

日本弁理士会認定 知財経営コンサルタント。

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